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触れるセラピストの本質を学ぶ~入門編

 コロナウイルスの影響で触れるという事が制限されている今。タイムリーに「触れるセラピストという仕事の基本」について講座をさせていただきました。先日、何気なく本棚にあったサラ・トーマス著のマッサージセラピーという本(2001年出版)をパラパラとめくったところ…。序文にとても感動した一説があり、まずそれを皆さんに冒頭でシェアしました。

 

 

人類の歴史が始まって以来、

私たちは手を使って互いに

安らぎと癒しを与え合ってきました。

 

触れるということは、

他者と交わることであり、

思いやりを伝えることであり、

孤独ではないと安心させることであり、

生きている実感と、

かけがえのない自分の存在を確認させるということ。

 

(マッサージセラピーより引用)

 

 

とても温かな言葉。

 

今の新型コロナの世界情勢を考えると、クライアントの方に触れることが出来ないもどかしさを感じつつ、、いつか活動再開できる日のために、この想いを皆さんと共有したい!と強く思いました。

 

私たちセラピストは、様々な手技を学びます。それはお客様の身体のバランスを調えるお手伝いのために、そして健やかで明るい心を育むために。プロのセラピストとして技法を高め、訓練を重ねること、とっても大切なことです。

 

ですが、私が目指す、触れるセラピストとは、手から思いやりが伝えられ、孤独ではないと安心感を与え、クライアントが生きていると実感し、自身がかけがえのない存在なんだと改めて感じて頂けるなんだ…

 

と改めて強く思いました。ですが、その想いを押しつけることなく、自然に手や立ち居振る舞いから伝えられるようになるには、あと何年かかるんだろう…と思うと、まだまだ研鑽が必要ですね(汗)。スクールでも生徒の皆様と探求したい大切なテーマとして掲げていきます。

 


そもそも私たち触れるセラピストって何のために、存在しているんだろう…と思うことが、過去に多々ありました。単純に気持ち良さだけでない、リラックスだけではない、でも日本では法律により医療行為は絶対的に不可。

 

20年前にセラピストになった時、「手に職が持てたらいいなぁ」と何となく選んだ仕事でしたが、今までのたくさんの学びから、触れるセラピストの仕事は、人間の感覚を育み、気付きを促し、その人の生き方を豊かにする、素晴らしい仕事なのだと今では誇りに思っています。

 

その想いをもう少し明確にしたい…と、マッサージセラピーの歴史を紐解きました。紀元前の医学の父と呼ばれたヒポクラテスは「医師というものは、多くの事柄に精通していなければならない、特にマッサージは確実に身につけなければならない」と説いたといわれています。紀元前から触れる事が人間の身体と心に大きな影響を及ぼすという事を説いていたのですね。何千年経っても人間の本質は変わらないんだなあと感動します。

 

他にも文化や伝承医学として継承されてきた技法が世界各地にあります。その土地の風土、歴史、そして人々。触れるセラピーが現代に受け継がれてきたのは、その時代のセラピストたちが「どうしたら、その人の役に立てるのか」と一生懸命に取り組んできたお陰なのだと、とてもありがたい気持ちになりました。自分も未来に繋げられるような仕事をしたいものです。

 


3時間に及ぶ入門編は、他にマッサージセラピーの効果や、WHO(世界保健機関)が提唱する健康の定義を紐解いたり、セラピーをする前に確保したクライアントの安心・安全についてのお話、禁忌事項などなど多岐に渡りました。

 

まだまだ研究を重ねていきたいテーマですね。

今日は、新しい受講生の皆様、そして再受講の皆様と、このお話が出来て本当に良かったです。

 

この講座は次回は2020年9月28日に開催予定です。

まだまだ先ですが、一人でも多くの方と共有できればと願っています。

 

ありがとうございました!

AtsuStudioJapan関口智子