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【セラピストの心構え】集中力と間(ま)

施術の時、どんなことを考えながらトリートメントをしていますか?とよくご質問をいただきます。私は『頭では考えず、身体で感じています』、なんて『Don't think! Feel!』のブルースリーみたいな事を言ったりしますが、これは本当ですし、施術家としてそう在りたいと願っています。

 

 

 

クライアントの身体は一人一人違います。温かさ、皮膚、筋肉の柔らかさ、そして息遣い、緊張度、リラックス感。それは体の部位によっても変わります。例えば、人間の体温は肩周りと足先では全く違います。1℃位、差がある事も。普段の姿勢で固くなっているところもあれば、筋力が低下して柔らかくなっている場所。普段の食べ物によって変わる皮膚感など。

 

いずれにしても、部位によって触れ方や圧のかけ方を変えています。

 

また施術中に手から伝わってくる情報によって、間の取り方を変えることもあります。間の取り方というのは、リズムだったり、呼吸のスピードだったり。クライアントは受け身で施術を受けているのではありません

 

施術を全身で感じ、セラピストの繰り出すスピードや触れ方によって、リラックスすることもあれば、逆に緊張することもあるのです。コミュニケーションにも間合いは大切です。直接触れる仕事だからこそ、急にクライアントと距離が近くなった気がしてしまいますが、真に心から緩んで頂けるよう、更に注意深く間合いを取る事が大切だと私は考えています。

 

 

 

それは施術の時に、急にやろうと思っても難しい…ので、普段から、自分の中にある間合いやリズム、呼吸を意識するようにしています。

 

先日、東京・参宮橋で開催されたソマティックフェスタで、野口体操の活元運動を体験してきました。野口体操については『知っている』程度で深く学んだことはありませんでしたが、とても興味深い学びをしてきました。

 

例えば、『気』。

 

肉体での行動する前に、気で行動する。自身をまとう『気』を先に動かし、それから肉体を動かす事で元の気を動かす、つまり『元気』に動く事が出来るそうです。

 

『気』が動く前に身体が動いた時は、『気が抜けている』『気が向かない』状態で、自分の意志が籠められず、そのうちに心と体がバラバラになり『自分が何をしているのか分からない』行動になっている…というお話でした。

 

実際、気を意識せずに動いた身体と、気を籠めて動いた身体の状態を比べてみましたが、安定感や固定感が全く違っていました。

 

Atsuでは、お客様に触れる前に『施術の型』を取ってから動く、という事を基礎で徹底的に行います。それが身についてくると、クライアント様に心が向けられるようになり、とても体が安定するのですが、もしかすると同じような事だったのかも…と思いました。

 

 

 

この『気を籠める』という事や、手の感覚の集中、呼吸、足さばきなどなど、1時間、長い時は3時間近くの施術時間中、ずっと集中する必要があります。

 

時に『今日の晩御飯何にしようかな~』なんて考えちゃう…かもしれませんが、それは私は出来る限り避けたいのです。なぜならクライアント様は安くはない代金を支払っていただき、自分の身体を私という人間に委ねてくださっているから、その思いに誠実に向き合いたいのです。

 

とはいっても、もともと集中力の無い人間です。

(落ち着きましょう、と小学校から中学までの通知表に書かれていました(笑))

 

私が集中力を鍛える練習は座禅や『瞑想』なのです。短い時は5分でも。長い時は30分以上。じっとしている、という事ではなく、自分の心の動きや呼吸、身体の変化などを一切の評価なく『ただ観察』しています。

 

 

 

自身をセラピストとして成長させてくれたのは、この『集中力を高める』という事に取り組めたこともあると自負しています。

 

今回、『禅寺で学ぶあぐらAtsuとトレーニング講座』を開催するのは、座禅や写経を通して、自分と向き合い、そして集中力を高める訓練を一緒にできたら、という想いもあります。

 

この集中力を高める、というのは訓練です。最初から出来たら素晴らしい!ですが、沢山雑念が浮かんだり、ソワソワしても大丈夫。

 

まずは自分を知る事が、次のステップへ進む為には大切な事だと、自分自身の体験からも感じている事です。

 

 

集中した施術は、受けていても本当に気持ち良いです。やっぱり『気』なんですよね。自分に気が向けられている施術はセラピストさんの熱意も伝わってきますし、労わりや慈愛も感じられ幸せな気持ちになります。

 

また前述しましたが、物理的にも体の軸が安定し、密着感も増すんですね。そんなお話も今回の講座ではお伝えしたいと思っています。

 

禅寺で学ぶあぐらAtsuとトレーニング講座の詳細はこちら

(2019.12/2-3 埼玉県飯能市の正覚寺で開催)

 

宿坊ではとてもシンプルな生活になると思います。

 

座禅をして、丁寧に作られた精進料理を『食禅』しながら頂き、お風呂で身体と向き合い、トイレに行く。そして寝て、また朝早くから起きて座禅をして、掃除をし、食事をして、写経をする…。

 

全て自分の一挙手一投足に意識を向けながら過ごします。なかなか日常生活では忘れがちな意図を持って動く、という事。この体験から日常に戻った時に、ご自身の意識にどんな変化が起こっているか楽しみにして頂きたいなと思います。

 

少しピリッと寒い時期ですが、良き時間になればと今から楽しみにしています。